実験していると、様々な試薬を使います。うちの研究室では、試薬の在庫が減ると学生が担当の方に発注依頼をします。その時に試薬の値段を知ることになるのですが、毎回値段の高さに驚かされます。
今回は、実験はいかにお金がかかることなのかをお伝えしたいと思います。
使用する機械が高い
例えば、DNAの濃度を測定する機械は100万円します。
また、細胞が入ったフラスコの温度を一定に保ち、ゆっくり振盪する(揺らす)機械があるのですが、構造はシンプルに見えるのに数百万円するそうです。
壊しちゃったら大変なのでみんな慎重に扱います。
試薬が高い
うちの研究室では、500種類近くの試薬を扱っていますが、高額なものが多いです。
多くの方にとってなじみ深いエタノール(アルコール)でさえ、実験用となると高い純度が求められるため高額になります。なので、薬局だと1000円ちょっとで買えるものが、実験用クオリティだと2000円になります。
また、タンパク質の検出で用いる抗体は目薬5滴程度の量で10万円します。その理由として、製造の手間にあります。抗体は、動物の体内で作ってもらうので、完成までに1年ほどかかるそうです。生体を扱う、完成まで時間がかかる、そう思うと、この値段は納得にも思いますし、一度の使用量も少ないのですが、それにしても高いと思います。
また、劣化しやすいものばかりなので、丁寧な扱いをしないと使い物にならなくなります。
消耗品が色々ある
実験器具、サンプルは綺麗に扱う必要があるので、色々なものが使い捨てです。
ゴム手袋は使い捨てだし、実験台を拭くのも雑巾ではなくペーパータオルです。また、サンプル溶液を入れる容器として、エッペンチューブという、1.5 mLサイズの小さいプラスチック容器に入れることが多いですが、試験管のように洗って再利用はしません。
こういった消耗品は単価が低いものの、チリも積もればなんとやらで無視できない存在です。
同じ実験を繰り返す必要がある
さらに、実験では測定結果のブレを把握するため、同じ実験を最低3回はやる必要があります。
回数を重ねる分、当然お金はかかります。
高額な実験ができるのは、資金集めをしてくれる人がいるから
こんなにお金がかかる実験を毎日できるのは、指導教員、研究員、博士課程の学生など、研究費を集めてくれている方がいるからです。
一般的には、研究テーマや計画をまとめた申請書を学術団体や企業に提出し、内容が認められたら研究費が支給されます。この申請書作りがかなり大変で、締め切り間際は皆さん寝不足で疲れた顔をしています。
研究費ではありませんが、私も自分の学費免除に向けて、研究計画をまとめた申請書を提出したことあります(無事通りました)。申請書の作成が初めてということもあり、1か月ほど、一度も実験室に入らずに一日中パソコンと向き合う日々でした。
なので、不自由なく実験ができることは大変ありがたいことです。一つひとつ丁寧に取り組んでいきたいです。特に、ケアレスミスして実験をやり直すなんてことは極力避けたいものですね。
また、研究室の資金は、やらせてもらえる実験の内容にも大きく影響しますので、これから研究室に配属される方にとって重要なポイントになると思います。
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