私の人生初の学会発表は、大して発表内容が固まっていないのに締め切り直前に慌てて申し込むというひどい形でのスタートでした。
今回は、申し込み後の準備期間の話をします。
発表用のポスター作製
学会で発表する際、口頭発表とポスター発表という2種類があります。
私はハードルが低いポスター発表で申し込みました。2か月後にポスターを学会運営側に提出する必要がありました。本来なら発表内容が決まった上で申し込むので、この段階でポスターの内容をどうするかなんて考えることは普通ありません。
しかし、見切り発車で申し込んだ私は、この2か月が勝負になります。
既にあるデータの解釈を考える
実験することでたくさんのデータが得られます(当たり前ですが)。しかし、論文にしろ学会発表にしろ、研究成果を伝えるうえで重要なのはメッセージだと思います。
例えば「コップに半分の水が入っている」というデータがあった時、そこから示せるメッセージは「水がたくさんある」なのか、「少ししか無い」なのか。
このように、同じデータでも解釈によって示すメッセージが変わります。そこで、私がすでに持っているデータを改めて見直し、解釈しなおすことでどうにか意義のあるメッセージがつくれないか考えました。
すると、だいぶ昔に出していた一つのデータに目が留まりました。当時は「コップに水が入っているが、だからなんだ」と大した意味がないデータだと思っていました。しかし、いま改めてデータを見直すと、水の量に重要な意義があるのではないかと考えました。そして、「水がたくさんある」と解釈することで、そのメッセージは研究成果として面白いものになるのではないかと思いました。
追加のデータを得る
過去のデータを振り返り、新たなメッセージの方向性が定まりました。今度は、メッセージの妥当性を高めるために追加で必要なデータを考えます。
再びコップの水の例を使うなら、「水がたくさんある」というメッセージを掲げる場合、別のコップと比較して「別のコップには水が少ない」というデータがあればメッセージの妥当性が増します。
あるいは、「コップがあるのは砂漠の真ん中」というデータがあれば、水の存在がレアであることが示され、コップ半量の水は「たくさんある」と捉えることの妥当性が増します。
メッセージの妥当性を上げられそうな(かつ期限までの2か月で実験が終わりそうな)データを考え、そのための実験をしました。
早いうちから指導教員に添削してもらう
申し込みの時はギリギリで迷惑をかけたので、今度は他の発表者の誰よりも早くから添削をお願いすることにしました。
まず、いきなりポスターを作製することはやめました。完成後に指導教員に見せると、根本的なところでダメ出しを食らって一から作り直しになる可能性があります。そうなってしまうと、今までの製作時間が無駄になってしまいます。
そのため、ポスターを作る前に、構成をワードで箇条書きでまとめて提出し、添削をお願いしました。箇条書きの編集は、ポスターの作り直しよりも圧倒的に楽なので、ここで指導教員からどれだけダメ出しを食らってもダメージは少ないです。
構成作りの段階で指導教員と内容を固めたので、狙い通りポスターを作り始めてからはあまり添削されませんでした。
無事ポスターが完成し、提出
見切り発車で参加申し込みした時は発表内容が決まらずポスターが完成できないのではと不安でしたが、添削のお願いなど早めに進めたこともあってポスター提出期限の数日前に提出が出来ました。余裕をもって終わらせられるって幸せですね。
あとは、質問が来た時に備えて補足データをまとめたりしながら、当日を楽しみに待つだけです。
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