研究をするからには、得られた成果を形にして発信したいものです。その手段の一つとして学会発表があります。
今回は、私が初めて学会発表したときの話をします。
学会発表とは
学会とは「学術分野の研究の進展を目的とした団体(あるいはその集会)」のことです。
ある専門分野に特化した「○○学会」というのがあり、年会費を払って学会の会員になることで、その学会が行うイベントに参加できます。学会発表とは、学会が開催するイベントにおいて、研究成果を発表することを指します。
学会発表する場合、大きく分けて2種類の方法があります。
一つ目は口頭発表です。20分ほどの発表時間が設けられ、参加者の前で成果を発表します。発表後、質疑応答やディスカッションを行います。後述のポスター発表と比べてしっかりと成果について発表できるため、それ相応の内容が求められます。
二つ目はポスター発表です。事前に研究成果をまとめたポスターを準備し、掲示(オンライン開催の場合、ウェブ上で公開)しておきます。参加者は好きなタイミングでポスターを見ることができます。内容に興味を持った場合は、発表者がポスター前にいる(zoomなどで待機中)ときに、いつでも質問や交流ができます。口頭発表よりも気軽に発表できるのが良いところです。
参加するまでの流れ
学会で発表したい場合は、事前に申し込みが必要です。締め切りは開催日の2~3か月前であることが多いです。申し込み時に口頭発表とポスター発表のどちらにするのか決める必要があります。そして、発表内容の要旨も一緒に提出する必要があります。
私の研究室の場合、要旨は締め切りの1か月前から作製し、指導教員からの添削を受けてから提出するのが通常の流れです。
自分の場合
私は最初、学会発表しないつもりでした。自分の研究はまだ十分なデータが揃っていないし、自分にはハードルが高いと思っていました。
研究成果の発表というと、堅苦しく、厳しい雰囲気のもと行われているイメージがありました。ネットで調べると、学会発表した学生が批判的な意見や質問でボコボコにされたという話がいくつか出てきます。それを見て「いや、私は発表なんて絶対無理だわ」なんて思っていました。
なので、先輩方がぼちぼち学会の申し込み準備を始めていても、私は何も気にせず自分の実験をやっていました。
ある日、先輩から声を掛けられました。
「君は学会発表しないの?」
私は自分の実力不足を理由に発表しないことを説明しましたが、先輩に「絶対申し込んどいたほうが良いよ」と勧められました。その理由は以下の通りでした。
①学会発表の経験は、就活や奨学金の申請に有利
②発表の質がザコでも、発表したという実績には変わりない
③ポスター発表なら、意外と何とかなる
④本当に実力不足なら、指導教員に止められる
⑤学会発表の機会は少ない(年1~2回)から、チャンスを逃すのはもったいない
どれも納得の理由なのですが、私にとって一番心に響いたのは④でした。私は、勝手に自分で実力不足だと決めつけ、挑戦していませんでした。実力不足と判断するのは、行動してダメだった時にするべきで、行動しなければせっかくのチャンスも得られないということを改めて気づかされました。
先輩のおかげで、私も申し込みをする決心ができました。わざわざ私を気にかけて声をかけてくださり、申し込みの後押しをしてくださった先輩には感謝です。ただ、一つ言いたいのは、
「なぜ締め切り1週間前にその話をしたのか?」
要旨作製など、申し込み準備には1か月かかるのに、どうしてこんなギリギリに話しかけたのか。
何も準備していない丸腰の状態でしたが、慌てて準備に取り掛かりました。大した成果が無いので要旨には一体何を書けば良いのやらと苦労し、当たり障りのない内容で何とか一晩で仕上げました。次の日には指導教員の先生に添削をお願いするためにメールを送りました。もちろん急な申し込みに対する謝罪も添えて。
メールで提出後、すぐに先生のもとに行き、学会発表したい旨を直接伝えました。案の定、先生には「もうちょっと早く言ってほしかったなー」と嫌な顔をされました。
しかし、嬉しいことに、申し込みを許可してくれました!
要旨も微妙な内容だが、今回は特別に許すとのこと。本当にありがとう。
こうして、先輩と指導教員のお気遣いのおかげで、私の学会発表デビューの幕が開けたのでした。
今回はポスター発表で申し込んだため、この2か月後にポスターの提出期限がありました。見切り発車で申し込んだので、ポスター作製も苦労する羽目になったのですが、そのことは別の記事で書けたらと思います。
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